【BOOK】目的への抵抗

人間が自由であるための重要な要素の一つは、人間が目的に縛られないことであり、目的に抗するところにこそ人間の自由がある。

 

何らかの目的のためだけに行動するのではなく、目的から外れた行動に人間らしい喜びがあり自由があるのではないか?何もかもが目的合理性に還元されるような事態には警戒が必要…という話を、コロナ禍の行動制限や権力、資本主義などなどの話を交えながら。

自由って自由すぎても面倒だったりするので(考えることや決めることが増えてしまうし、今その負担を抱えられる余裕がない人が増えてるようにも思う)、周りや上から勝手に決めてもらった方が簡単なことって山ほどありそうなのだけども、だからといって気やすく手放すと取り戻すのが大変なのだということは、忘れてはならないこと。

この本は学生向けの講義をまとめたものだけど、学生との質疑応答における対話、國分先生が学生と向き合う姿勢が美しいと思った。雑にまとめると、自分を開いて相手をまっすぐ受け止める、相手&相手の発言に敬意を払う…みたいなことだと思うのだけど、そしてこれって対話するにあたって当たり前にすべきことなのだろうけど、簡単ではないと思うし(つい自分を大きく見せようとしたくなったり)、なにしろ論破と炎上ばかりの世の中ですからね…。