【生き方事典7】頼まれごとで淡々と積み重ねた10年。今、自分の専門ど真ん中で勝負を賭ける(問題整理の専門家 大谷更生さん)

インタビュー企画「生き方事典」、いつもお読みいただきありがとうございます。少し間が空いてしまいましたね…。

※過去の「生き方事典」はこちらからどうぞ

 

「生き方事典」7人目は、問題整理の専門家 大谷更生さんです。

大谷更生(おおたに こうせい)
大谷更生総合研究所合同会社 代表社員

問題整理の専門家

新潟県出身。明治大学商学部卒業後、KDDIで18年間システムエンジニアとして勤めた後に独立。
システムエンジニア時代は総勢数百名の大規模システム開発プロジェクトの全体調整を担当。
日々発生する課題や障害を対処しつつ、決められた予算・納期・要員を最大限に活用して納期通りプロジェクトをリリースした経験を、再現性のあるノウハウとして体系化。
現在は問題整理の専門家として、問題整理手法や報連相、仕事のダンドリ、売れ続ける仕組み作り、施術家向けスクールプログラム構築に関する講師やコンサルティングを行っている。

 

更生さんと知り合ったのは2009年。もう10年前なんですよね…!当時は、「更生さん=名刺の人」という印象で記憶していました。個性の伝わる名刺の作り方をセミナー等で教えていらしたんです。

とはいえ、更生さんご本人は、10年経っても本当に変わらない(良い意味で)。いつも淡々と、誰にでも同じように接し、頼まれた仕事は何でも断らずに引き受けて、期待に応える。コツコツと丁寧に、信頼を積み重ねてきた方です。

 

今回、そんな更生さんにインタビューを申し込んだ理由は、昨年末、「頼まれごとは断らない→得意なことに絞る」という主旨のブログがアップされたことに驚いたからです。

頼まれごとを引き受けるというのは、もはや更生さんの「トレードマーク」だと思っていたんですよね。それが、起業後10年近く経った今になって「絞る」とは、どういうこと…??

結果的に、更生さんの職業人生の多くに触れるようなお話になりました。過去の失敗なども含め、多くの人が語りたがらない内容も率直に語ってくださいましたので、働く人みんな必見です。

 

今回の記事は、会社に疲れて起業や独立を考えている方、自分の好きなことや得意なことがよくわからない方に、特にオススメします。

 

講師業の肝は「編集」にあり

ーー更生さんって、私の中ではもともと「名刺の人」っていう印象で。似顔絵とかいろいろな情報が載った名刺の作り方を教えていたんですよね。そこから約10年経つわけですけど、最近のお仕事はどんな感じですか?

「問題整理の専門家」という肩書きを5年ぐらい使っていますけど、業務としては講師業がメインですね。企業研修や商工会議所の講演、専門学校の講師も少しやりました。ロジカルシンキングや仕事のダンドリ、「報連相(※報告・連絡・相談)」といったビジネススキルを教えることが多いです。

 


現在のサービスメニュー一覧(※画像をクリックすると拡大します)

 

あと、最近増えているのがeラーニングの講師なんですけど。

 

ーーeラーニング。動画ってことですか?

そうです。スライドを作って、自分で話して。最近「資料だけ作ってほしい」という依頼があったんですよ。実際の講義では別の人が話すから、スライドとその人が読む原稿だけ欲しいって。私、別に人前で話したいわけではないので、有り難い話だなと思って

 

ーーそうなんですよね、更生さんってもともと人前で話したい人ではないんですよね。それなのに講師業ばかりやっているのが不思議ですけど。

自分で話してきたのは、単に自分が作ったものを話してくれる人がいなかったからですね。今回みたいに話してくれる人がいるというのは、もう願ったり叶ったりですよ。まあ、講師も10年やってきましたから、話せと言われればもちろん話せるんですけど、積極的に話したいわけではないので。

 

ーー更生さんが得意なのは、どちらかというと、情報を集めてきてまとめる作業のほうですよね。

そうなんです、コンテンツ編集ですね。そういう意味では本を書くのと一緒です。私はこれまでに2冊出版したんですが、参考資料として何十冊も本を読んで、さらに自分の知識やエピソードなども加えながら、情報を編集していくわけです。

 

ーーでも、編集力を活かして講師をやっている人が、「問題整理の専門家」という肩書きなのは面白いですね。

私が扱うテーマって、みんなテーマ自体は知っているけど、扱い方を知らないものが多いんです。例えば「ロジカルシンキング」って言っても、「なぜロジカルシンキングをするの?」「それができないと何が困るの?」って聞いてみると、みんな解釈が違うんです。わかっているようでわかっていない。理論やスキルばかり学んでも、「なぜそれを学ぶのか?」がわからないと、現実にフィットしないんですよね。

「報連相」にしても、「なぜ報連相が大事なのか?」っていう部分の認識が一致していないと、いくら「報連相しましょう」と言っても、部下はしているつもりなのに上司は聞いていない、みたいな不一致が起きてしまうわけですよ。

 

ーー「不一致をなくす」「共通認識を作る」のも仕事だとすれば、たしかに「問題整理」をされてますね。

そうですね。問題そのものを掘り下げて整理しておかないと、「なんかいい話聞いたな」で終わっちゃって、活かせませんから。

 

評価されない30代を経て、起業

ーー先ほど、最初の印象は「名刺の人」だという話もしましたけど、私と更生さんが知り合ったのはかれこれ10年ほど前で、更生さんの起業直前なんですよね。起業の経緯って私も詳しく伺ったことがないように思うんですが、なぜ起業されたんですか?

まあ、会社飽きた…(笑)。

 

ーー(笑)。KDDIにお勤めだったんですよね。

そうです。飽きたというか…会社にいても先が見えないと感じたんですよね。つい最近、妻から聞いたんですけども、退職する直前の2009年頃って、私、家に帰るとずーっと愚痴ばかり言っていたらしいんですよ。

 

ーーそうだったんですか!

「らしい」っていうのは、自分では覚えていないんです。でも「しんどそうだった」って言われて。

あの会社って、私が20代の頃はまだベンチャーで、好きなことがやれたんです。でも2000年に合併があって大企業になったら、窮屈になってしまって。

 

ーー社内の構造が大きく変わったんですね。

そうですね、それによって「今のままじゃダメだな」って思ったんでしょうね。新しいことをやりたい、そしてもっと評価される場所に行きたい、と考えていました。それで、自分から異動を申し出たんです。

でも、最初に行った部署では結局何もできなくて、まずいと思ってさらに異動した先でも上司とトラブルになって、さらに動いた先でも何かが違う。3度異動してようやく、「動き続けてもどうにもならないかもしれない」って思いました。

20代のうちはある程度評価されていたんですが、自分の力で評価されていると思っていたんですよね。だから、どこでも自分は評価されると思いこんでいたんですけど、実際には、周りのサポートも大きかったんだな、と。原因は環境ではなくて自分かもしれない、とそこで気づきました。傲慢でしたね。

 

ーー「環境ではなくて自分が原因ではないか」と気づいても、そこから事態は好転しなかったんですか?

一時的に面白いことはあったかもしれませんけど、全般的にはしんどかったですかね。会社の中に新しい選択肢を見つけられなくなってしまって、「これはもう出るしかないかな」って。それで、「出るとしたら余力があるうちに出よう」と思いました。ちょうど40歳で退職したんです。

 

ーー起業するとなったときに、社内でやっていたお仕事を起業してからもやろうとは思わなかったんですか?

それは思いました。いわゆるITコンサルですね。それと名刺の2本でやっていこうと思っていたんです。ただITのほうは、ニーズのあるところにアクセスする術を持っていなかったんですよね。仕事としては成立しなかったです。

 

ーー名刺の仕事はどういうきっかけで?

名刺は、個人の名刺を作って配っていたら、あるコミュニティで「私たちもこんな名刺を作りたい」って言われたんです。

 

ーーじゃあ実際のニーズに基づいて始めたっていう。

はい。ためしに作り方をシートにまとめてみたら、みんなそれで名刺が作れたんですよ。私、会社員時代に『情報整理術』という本を執筆したんですけど。

 


更生さんの著作物。左下の黄色い本は、右下の『3年後のあなたが後悔しないために今すぐやるべきこと』の韓国語版

 

この本の中に、「自分の情報を整理する」という内容も含まれていて、名刺の項目もあったんです。

 

ーーそうか、コンテンツが既にあったんですね。でも今改めてこの本を見ると、「問題整理の専門家」と名乗っている人が10年以上前に「情報整理術」を書いていたって面白いですね。当時から今の仕事を目指していたわけではなかったと思うんですけど。

たしかにそうですねぇ。この本に書いた内容って、今でも少しずつ変えながら使っている部分があるんですよ。

 

何でもやる10年から、ど真ん中に絞る10年へ

ーー40歳で起業されて、もともとはITコンサルと名刺の2本柱だと考えていらしたわけですが、結果的にこの10年で本当に多様なお仕事をされてきましたよね。

そうですね。講師業は、来た話はほぼ全部やっていました。あとは知人の連続講座の事務局とか、整体師さんのコミュニティづくりのサポートとか、新規サービス立ち上げの手伝いとか…。とりあえずやってみて、「ちょっと違うな」と思ったら次からはやらない、という感じでしたね。

 

ーーさらに個別コンサルを受け付けたり、出版イベントをサポートしたり…仕事の種類もテーマも相当たくさんありましたよね。メニューが1枚の表にまとめられていたのを記憶しています。

はい、サービスマトリックスですよね。

 


2013年バージョンのサービスマトリックス。メニューが24個!(※画像をクリックすると拡大します)

 

ーーこのマトリックスの印象がすごく強いんです。これは、声を掛けられるうちに増えたという感じですか?

そうですね。自分で「これがやりたい」「これをやろう」と思って始めたというよりは、話が来た仕事をやってみて、そこから派生させて「こういうサービスもできるんじゃないか」と展開させていった感じですね。

 

ーー更生さんは知り合った当初から「頼まれたことは断らずにやる」ってずっとおっしゃっていましたよね。そのポリシーのきっかけは?

ロックバンドのリーダーで本のソムリエでもある一里塚歌劇団の団長に影響を受けたんです。彼が「いつ何時どんなオファーでも受ける」っていうスタイルなんですよね。その姿勢が印象的だったので、15年ほど前から真似することにしました。起業してからもずっとそれを貫いてきたら、自分が得意なことや価値を提供できるところがだんだんわかってきたんです。食わず嫌いしていたら見えてこなかったことだと思います。

 

ーーそのせいか、更生さんはものすごく幅広いことに対応できる印象があります。だから、昨年末のブログに「絞る」と書かれていたことにちょっと驚いたんです。わざわざ文章で宣言するというのは、決意表明としてかなり強いなと思いましたし。

基本的には、「全部自分でやらなくてもいいんじゃない?」っていう話です。私の周りにはあらゆる分野の専門家がいますから、これからはもう、自分の専門分野のど真ん中だけをすくい取って、それ以外はその道の専門家に振ってしまえ、と。

 

ーー何かきっかけはあったんですか?

昨年秋から担当していた専門学校の講師の仕事が1つのきっかけですかね。IT系の専門学校の講師の仕事を紹介されたんです。テストや課題で成績を付けて、単位も出すという講義でした。私はもともとエンジニアでしたし、頼まれごとですのでいつも通りお引き受けしました。

でも、いざ始めてみたら、同じ「講師」という仕事でも、学生向けと社会人向けってこんなに違うのかと愕然としました。

専門学校の授業だと、高校を出て入ってきた若者が多いこともあってか、そもそも話を聴く姿勢さえできていない学生がけっこういるんです。普段私が担当している企業研修やセミナーは、社会人対象で、学びたい人が自主的に集まってきているケースも多いですから、しつけの部分も担わなければならないと気づき、これはしんどいな、と。

 

ーー社会人向けの教育とは思った以上に様子が違ったんですね。

相当消耗しましたね。未知の世界でしたし。私はどちらかというと、仕事としての「労力対効果」と言えばいいのかな、それが最大になるところをやっていきたいんだと思います。

 

ーーそういう意味ではたしかに、社会人向けの講師のほうが、教えることに専念できますし、労力がまっすぐ効果につながりやすいかもしれないですね。

そこに絞ってしまったほうが、応用もきくんですよね。先ほども話した通り、自分が経験した仕事を派生させて新たなサービスを作ったりしていますから。

 


無印良品の4コマノートを愛用中。奥に見えるタイマーや時計は研修の必須アイテム

 

ーー「やったことのない仕事もとりあえずやってみる」という選択もありますが、一方で、「絞って尖らせることで認知してもらう」という方向もあるじゃないですか。Aさんといえば○○、みたいに。更生さんはこれまで敢えて前者をやってきたわけですけど、「やっぱり絞ろうかな」と考えたことはなかったですか?

これまではなかったですね。何か理由があるはずなんですよ、頼まれるということは。経験のないことでも、自分が気づいていない可能性や才能を相手が感じているかもしれない。だったらとりあえずやってみたらいいと思うんです。

ただ、今はもう自分の得意なことがだいぶ明確になったので、もう絞ってもいいタイミングだなと思っています。

このタイミングで絞るのは、「もうそんなに時間が残されていないんだ」という感覚も大きいです。来年50歳になるんですね。この10年間、遠回りもしつつやってきましたけど、この先10年はもっと時間の密度を上げていかなければならない。何が得られるかわからないものよりも、確実に得るものがある「自分のど真ん中」に絞っていったほうがいいな、と。

 

ーー絞ると決めたこれからの10年が楽しみです。今年以降の展望って何かありますか?

うーん…まだ「何をやりたいか」までは決まっていないんですよね。今は来たものをどう受け取るか、そのスタイルを変えると決めた段階で。ただ、例えば最初にお話したeラーニングのスライド作りみたいに、自分が前に出て話すよりも、少し引いた立ち位置にいられるようになったらとは思っています。

 

続ける秘訣は、熱狂に頼らないこと

ーーここまで伺ってきたのは、「何でもやる」から「絞る」への変化のお話だったんですが、一方で、更生さんって変えずに続けてきたことがいくつもありますよね。例えば、毎朝Facebookに言葉を何年間も投稿し続けていらっしゃいます。月1回のメルマガもずっと送られてきていますし、朝食会も形を変えつつずっとやっていらっしゃる。どれも意識的に続けているんですか?

朝の言葉は意識してやっていますね。2005年頃から自分の手帳に書き始めて、その後mixiにアップするようになり、2012年からFacebookに引っ越しました。最初から数えると4000回を超えています。

 

ーー続けている理由は?

「規則正しい生活してるぞ」アピールですね(笑)。

 

ーー(笑)。

でも正直、朝起きたら顔を洗うのと同じ感覚で、習慣になっています。あとは、反応があるのも大きいですよね。「いいね」やコメントが付くと、みんなが気にかけてくれていることがわかりますから。

 

ーー朝食会のほうはどうですか?

2008年頃から何かしらやっています。この2年ほどは勉強会という形でしたが、目的としては「ここに行けば大谷更生に会える」という場を作ること。誰も来なかったことも当然ありますけど、まあそういう日もあります。無理しなければ続きますね

 

ーー淡々としているのが良いのかもしれないですね。熱狂というか、感情に頼ると続かないような気がして。

あ、続かないですね。

 

ーー更生さんって感情で揺れるイメージがないんですよね。もちろん感情がないわけではないんですけど、感情で行動が左右されるイメージがない。

それはないですね。日頃フラットでいると何が良いかって、1つは淡々と物事を継続できることですが、もう1つは、感情を出すと一発で相手に伝わることなんです。「朝、妻とこんなことがあってムカついたんですよ」みたいなことを言うと、相手は驚いて反応してくれるんですね。

 

ーーそっか、そういう意味だと、更生さんがやっていらっしゃるコミュニティ「全国恐妻組合連合会とか小冊子「恐妻家の掟は、更生さんの感情的な部分が垣間見えるからこそ面白いんでしょうね。あれも淡々としていますけど。

 


小冊子「恐妻家の掟」

 

そうですね。普段淡々としている人間が、「とはいえムカつくこともあるんですよ」って言うと、ギャップになるじゃないですか。ときどき言うから良いのかなって思います。

 

ーーご家庭だともっと感情的ですか?

いや、家でも変わらないですよ。感情的になったとしても、長くて一晩。朝起きたらノーサイドです。妻も私も引きずらないし、引きずっても良いことがないですよね。

もちろん、夫婦でいると予定通りにならなくてイライラすることもあります。例えば2人で遊びにいくとして、妻の準備が遅くて予定通りに家を出られないとか。

でも、そもそもなぜ遊びにいくの?って話ですよね。2人で楽しい時間を過ごすために出かけるのだとしたら、楽しく過ごせればいいわけじゃないですか、予定通りじゃなくても。いちいちイラついてしまったら、もう最初からアウトです。

 

ーーせっかく楽しむために出かけるんですものね。

でもたぶん、そういったことで諍いを起こしてしまう人はたくさんいます。手段と目的が逆転しているというか…。「なぜそうしようとしたのか」ということを大事にしたいですね。

 

ーー今、見事に最初の研修の話に戻ってきましたよね。「なぜそれをやるのか?」が大切だという話。面白い。

戻りましたね。やっぱり「なぜ」ってすごく大事です。研修の話でも言いましたけど、やっぱり「共通の認識」を持つことですよね。同じ言葉を使っていても、人によって同じ意味で使っていなかったりします。その意味の違いが争いの元になることがあるので、そこをまず合わせましょう、と。

 

ーー違う人間ですからね。

そうなんですよ。でも、自分と近ければ近いほど、なぜか「相手も同じことを考えているだろう」って思い込んでしまうんですよね。期待通りにいかないとイライラしてしまう。

もし自分に合わせてほしいと思うのなら、細かく伝えなければダメです。例えば「この日までに提出してほしい」と伝えるのなら、「何月何日何時何分までに、このフォーマットで、こんなことを書いて返してください」みたいに、細かく決めてしまえばいい。

なんとなく「明日までによろしく~」みたいな感じでは、求めるものが返ってこなくて当たり前ですよね。

 

甦って「余生」を生きる人の夢と幸せ

ーーここからは「生き方事典」恒例の質問です。更生さんが実現したい夢って何ですか?

数年前に、自分の夢を1枚の絵にしてくれるという「夢ピクチャー」を描いてもらったんです。自分の葬式の様子なんですが、この通りになったら嬉しいですね。

 


夢ピクチャー「大谷更生の葬式」(※画像をクリックすると拡大します)

 

ーー「お葬式感」のない、明るい絵ですね。

葬式らしいのは、私の遺影があるという点だけですね。いろいろな人が集まってくれて、自分のことをネタにしながら楽しく過ごしてくれたり、その場でまた新たなつながりができたり…そんな葬式になったらいいなと思っていて。

 

ーー自分で見届けられないですけど、ある意味、究極の夢というか。

こういう葬式にするために何をしなければならないか?と考えると、やっぱり敵を作らないことかなと思っています。相手の感情をコントロールすることはできませんし、離れてしまうこともありますけど、ベストを尽くして、嫌な印象を残さずに終われるようにしたいですね。

 

ーー相手は変えられないからこそ、自分にできることをやり切るということですね。もう1つ質問させてください。更生さんにとって幸せとは何ですか?

今、かなあ。

そもそも私、仮死産で生まれているので、蘇生術を受けて助かった瞬間から「余生」なんですよね。

 


更生さんの母子手帳。右上に「仮死産 仮死→蘇生」との記載が(※画像をクリックすると拡大します)

 

だから、生きていること自体が当たり前ではなく、あくまでも「余生の積み重ね」だと思っているんです。だから、今生きていられることが幸せだなって思います。しかも、いつ終わるかわからないですしね。

 

ーーなるほど、特定の出来事ではなく「今生きていられること」そのものが幸せ。

何かをしている瞬間とか、何かができた瞬間とか、出来事に対する執着はあまりないです。そういうものって、全部流れていくじゃないですか。「言われてみればたしかに幸せだったかも」みたいなことはありますけど、わりとさーっと流れていく感じなんですよね。だから、逆に「一番幸せだった瞬間っていつですか?」って聞かれたら、答えられないかもしれません。

 

 

★大谷更生さんの「私、これが好き!」

※好みが見えると人が見える…!?取材させていただいた方に、好きなものやオススメのものを伺っていこうと思います!

 

パッと思いつくのは、6歳上の妻ですね。できているところもできていないところも、理屈っぽくてムカつくところも(笑)全部含めて好きだなと。

結婚したのは2006年6月で、結婚13年目になります。性格的には真逆で、良いバランスだと思います。距離感もちょうどいい。

 


2018年、入籍12周年のお祝いディナーで奥様と。
 

でも、よく一緒にいてくれるなあと思いますね。もともと「いつか独立します、それでもよければ」と伝えてはいたんですが、後から聞いたら、こんなに早く独立するとは思っていなかったようで。でも、「なんとかなるだろう」と思ってくれていたみたいです。すごいですよね。他の人だったら続いてたかどうか。

他にも好きなものはありますし、好きなお店なんかを紹介してもいいんですけど…結局、そのお店に一緒に行くのも妻なんですよ。

 

 

★おしらせ

更生さんのホームページはこちら。ブログも毎日更新されていますので、ぜひチェックしてみてください。

◎さまざまなことを日々継続されている更生さん、現在は日刊メルマガも配信しています。登録特典が豪華すぎるのが特徴で、「出版社の企画会議を通った出版企画書実物」や、「60秒自己紹介作成シート」など、24種類ものシートが手に入ります…!ぜひご登録を。

 

 

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