個展の話が続きましたので、今日はちょっと違う切り口の話を。創作してる人にも起業してる人にも関係ある話かな。
最近私が気になっていたネタを一気にまとめておきたいと思います。
「一般化」が加速してヒロインだらけの時代に
しばらく前に、こんな記事を読みました。
↓↓↓
簡単にまとめてしまうと「以前は一部のプロしかできなかったことが、素人にもできるようになっている」っていう話かな。
今はメルカリとかで簡単にモノを売れるけど、昔は実店舗を出さないといけなかった。モノを売るハードルが下がってる。
今はスマホとかで簡単に動画を撮ってYouTubeとかSNSにアップできるけど、昔はちゃんとした機材が必要だったし、発信先も身の回りかテレビか…みたいな感じだったはず。発信のハードルも下がっている。
さらに、みんなが「主人公になりたい」「作り手になりたい」そんな時代だ、とも書かれています(その背景も面白いので本文を読んでね)。
私は、起業したい人や自分で仕事を続けていきたい人の支援もしてきましたし、自分で創作もしているわけなので、とてもよくわかるんですね、この辺の話。
起業したい人が増えているのも、創作したい人が増えているのも、まさに「主人公になりたい」「作り手(サービス提供側と言い換えても良さそう)になりたい」人が増えているってことだし、実際それができる環境になっている。
起業自体は「ブーム」みたいなことが言われ始めて数年経っていますが、ハードルがずいぶん下がっているのは事実ですよね。始めるだけなら誰でもできるし、選択肢の1つとして考える人が増えている(継続は別だけど)。
というか、「起業」なんて言葉がもはや大げさかもしれない。メルカリなんて本当に誰でもサクッとお金を得られる手段なわけで、そもそも事業である必要さえない。日常の中にさらっと存在してるよね。歯磨きみたいに。
創作という観点で言えば、まず作品を生み出すこと自体が一般化されている。私の作品だって、iPhoneで加工しているわけですが、今アプリで簡単にできることって、たぶん一昔前までは完全にプロの領域だったはず。
そして、創り上げたものを拡散することも難しくない。昔はマスメディアしかなかっただろうけど、今はInstagramとかYouTubeとか、無料で使えるものがたくさんあります。そこからメジャーシーンに出ていく人までいるわけですし。
いろいろなものが一般化したおかげもあって、誰もが主人公として注目を浴びられる可能性のある時代になった。
もはや世の中全員がヒロイン・ヒーロー。「人生の主人公はあなたです!」っていう自己啓発的な言葉が冗談抜きでリアルになってる。
「コンテンツの質が大事」という話
一方で、実はこの1ヵ月ぐらいの間のことかな、やたらと「コンテンツの質が大事」という言葉も目にしたのですよ。
すごく雑にまとめちゃうと、「良いものを売りましょう」ってことでいいのかな。当たり前のようでいて、実はぜんぜん当たり前になっていないやつです。
代表例として、先日まで文章教わっていた天狼院書店の三浦さんの記事を置いておきますね。
↓↓↓
時代は「マーケティング主義」から「昭和のコンテンツ主義」に突入!「広告」から「拡散」!「広告代理店」から「個人」へ!
これ、さっきの「一般化」の話と総合すると面白いなあと思うんですが、
素人でも参入できる時代だからこそ、良いものでないと生き残れないよ
ってことになるのかなあと。
「誰でも何でもできる」というのはとても夢があるけれど、どうしても、世の中に出ていくものが玉石混合になってきます。というか、もうけっこう一般化って進んでいる気がするので、既に玉石混合になってると思う。
だからこそ、「コンテンツの質」という真っ当なほうに揺り戻しが来ているようにも感じるし、世の中に出回るモノの数が増えれば増えるほど、埋もれるモノも増える。良くなければ売れない、というシンプルな話に落ち着く。
文章やキャッチコピーやビジネスモデルでごまかしたようなものも、以前以上に通用しなくなってきている気がします。何しろ、みんな宣伝に対する免疫がだいぶ付いちゃってますから。たぶん若い世代ほどそう。
今って、従来の広告とか宣伝の力というよりは、普通の人(特にお友達とか身近な人)がSNSとかで拡散しているっていうほうが、宣伝として力があったりしますよね。
上から目線の広告とか宣伝とか、みんなもう見てないでしょ?上から力で押して何とかなる時代はもう過ぎているような気がする。
だから、「1人1人の個人にしっかり刺さるような良いものを作りましょう」という流れになっていくわけですね。良いものでなければ、拡散したい気持ちになんかならないから。
ただし、「良いもの」の定義は人それぞれ
じゃあ「良いもの」って何?っていう話になると思うんですが、個人的には「良いもの」の定義自体が広がっているのではないかと思っていて。
昔こんな記事を書いたのですが
↓↓↓
プロの写真も変わらず良いのだけど、素人の撮った写真もすごい売れていて、新しく別の市場ができあがっている、と。
市場は必ずしも1つじゃないです。それってつまり、「良いもの」が必ずしも1つに決まっているわけじゃなくて(大きな枠での一般論はあるかもしれないけど)、いろいろなものが「良いもの」だと思われる可能性があるってこと。
価値観が多様化してきていると言われていますが、単純に世代の差を考えてもそうですよね。36歳の私から見て、アラサーぐらいの価値観も既にちょっと違うなと思うわけで、もっと若ければもっともっと違う。
年代だけじゃない。趣味の世界だって価値観が広がっている。コミケとかすごい盛り上がってるけど、私にはあの世界って全然わからないわけです。でも、あの中でものすごい売れてる人とかいるんじゃないだろうか。
ビジネスに対する価値観とか考え方もいろいろで、日本中、世界中に自分のビジネスを拡大したい!という志高き人もいれば、ごく小さなコミュニティの中で楽しく商売してる人もいる。
世の中一般的に受け入れられる「良いもの」を作っている人もいれば、一部の狭いコミュニティやファンの中で爆発的に売れる「良いもの」を作っている人もいる。
どちらもビジネスとしては成り立つはずです。目指すところは違うかもしれないけど。ただ、どっちにしても、素人が参入しやすくなっているのも、良いものを作ろうねっていう話はたぶん一緒。
だからこそ、「ヒロインたち」が考えるべきこと
ということは。
結局のところ、自分は何をしたいのか?誰に向けて何を届けたいか?っていう、ものすごく根源的なところにたどりつくような気がします。自分が「主人公」になるってそういうことだものね、ヒロイン・ヒーローのみなさま。
これって商品・サービスのターゲットの話だけではなくて、理念とか志とか想いとか、そういうレベルも含めた話ね。
1人1人に刺さらないと売れない時代だからこそ、「想い」とか「生き方」とか、そういう値段を付けられないものがなおさら重視される時代でもあるのかな、と思ったりします。
一般化でハードルが下がったからこそ、ラクができるわけじゃなくて、なおさら想いや信念を持って続けるしかない。少しでも良いものを作ってお客様に喜んでもらおうと、磨き続けるしかない。
ってことは、それだけの想いを注ぎ込めるものがあるかどうか。それだけの労力を注ぎ込んで磨き続けたいものがあるかどうか。なんとなく「好き」ぐらいじゃ仕事になっていかない、ともいえます。
いずれにしても、こういうあたりがますます問われるってことなのかもね。
宜しければこちらも↓
※私のお客様は女性が多いので、タイトル等一部「ヒロイン」とさせていただきました。