パリ出展のご報告&パリという「芸術」の中に置かれたアートの話

1週間、パリに行っておりました。

写真作品を1点、パリ市内の展覧会に出展していたので、パリに展示された自分の作品を眺めつつ、レセプションに参加しつつ、あとはひたすら観光しつつ…の1週間。

 

 

パリに出すことになったのは、今年1月の個展の後、今回の主催者の方にお声掛けいただいたからです。結果的には、海外に出したということよりも、「1つの目的のために1点集中して作品を創る」という経験が本当に貴重でした。

私は今まで個展が多く、わーっと多数の作品を創って出すことが多かったんですよね。でも今回出せるのは1点だけ。

「パリに出す」ということを踏まえつつも、「日本」に過度にこだわって狭くつまらない作品にならないように(日本人である前に「私」だからね)…などとぐるぐる考えながら、究極の1点を生み出す作業。これがものすごく楽しく、苦しく、身になった気がしています。

 

 

100点以上の作品が展示されていたのですが、会場に着いてみたら即座に自分の作品が。入口すぐ、外からよく見えるところに飾られていました。

スタッフの方と話してみたところ、私の作品が日本的で目立ちやすいと思われたらしく、「客引き」を狙った配置だったようで。

初日からかなり人が入っていたようなので、一応仕事はしていたのかなと思います。そもそもギャラリーの立地がとても良かったので、私の力ってわけでもないですけど。

 

 

今回の被写体は、知人や私の母・祖母の着物でした。
(※このブログをずっと読んでくださっている方はご存知だと思いますが、絵ではなくて写真です。写真を複数枚、スマホで重ね合わせて創っています)

蝶がふわふわと飛ぶ様子と明るい色。「迷った感」とか闇をどこかに香らせたくて、つるっつるの超光沢紙にプリントしてやりました。極端な明るさってどこか暗いんですよね。伝わったかどうかはわかりませんけど。

 

今回、別に現地に出向く必要はなかったのですが、行ってみて良かったなと思いました。

パリは15年ぶり2度目だったのですが、15年前って、アートにはまるで興味もなく、自分がアートにかかわるなんて夢にも思わず、パリにも再訪するなんて思っていませんでした。別に嫌いな街ではなかったけど、私っぽくない場所だと思っていて。

 

 

アートに足を突っ込んでから初めて眺めたパリの街は、街全体が芸術に見えました。なんとなく、あの街の風景は「アート」ではなく「芸術」と呼びたい。なんでだろうか(重みの違い?)。

そんな芸術を背景として、ギャラリーや美術館がたくさんあり、ストリートアートが点在し、路上で絵を描いて売る人たちもエネルギーに満ちている。

 

そんな様子を肌で感じたうえに、パリに置かれた自分の作品を見て、他の出展者たちの作品を見て…滞在中ずっと考えていたのは、「アートって何なんだろう?」ということでした。

  • 「アート」と呼ばれる場に置いてしまえば何でもアートになるのか?
  • 「これはアートだ」と声の大きな人が言えばアートになるのか?
  • 美しくなければアートではないのか?逆に美しければアートになるのか?
  • 技術や技法が優れていればアートと呼んで構わないのか?

 

 

学術的(?)な定義はあるのかもしれないけど、いろいろな意味で使われている言葉だし、そもそも言葉として大きすぎて、まとめきれないよなあと。

ただ、個人的に「アート」として見たいものって、

  • 美しさだけではなく、必ず「プラスアルファ」を備えたもの
  • 「おお!」「わあ!」「へえ!」といった驚きや発見のあるもの

だよなあと感じました。これは以前からわりと思っていたことなんだけど、その感覚がぐっと強くなった気がします。私はそういうものが好き。

 

私が作品を創り始めたのは完全に偶然で遊びだったけど、気づいたら、今のような作品を展示し始めて4年(!)経ちました。カメラを手にしてからだと、来年で10年です。

今思うのは、「自己表現・自己発散の場が欲しい」「自分自身を驚かせたい」みたいな気持ちもあるのですが、私のビジョンの1つである「さまざまな視点を提示して幸せを増やしたい」というのを、創作を通してもしっかり叶えていきたいな、ということ。

パリに行ったからって、別に何が変わるわけでもない。目指すところは同じです。そのための道具として写真や言葉があって、それを磨くことでさまざまな世界を見せることができればいいのだと思う。

 

 

そうそう、先日(帰国後)、たまたま複数の人に「ちえさんの作品は言葉込みだから」と言われまして。たしかにキャプションに書き添える短文(詩みたいなもの)もセットで気に入ってくださる方が多いし、そこまで込みで創っているという意識もあります。すべてが作品。

ただ、今回は言葉の違う国での出展。キャプションもフランス語に翻訳していただくことになっていたので、細かいニュアンスまで伝えることは難しかったのです。私、フランス語全然わかりませんし。文化も違うし。

そういう意味では、海外に出すことによって、「言葉と切り離されても通用するのかどうか」というのは試されたような気がします。いくら言葉と写真がセットで1つの作品だと言っても、個々のクオリティが高くなれば、全体も良くなる可能性が高いし、いろんなことができる。

ちょうどギャラリーにいた日、年配のマダムが私の作品を見て、ものすごく一生懸命話しかけてくださって、「私と作品の写真を撮らせてくれ」と言われました。フランス語だったので全然意味がわからなかったんだけど(笑)、たぶん褒められたのだと思う。とりあえず気に入ってくれた人はいたみたいで一安心。

 

とにかく、出してみて良かったのだなと思います。日本にいては得られなかった経験値は、確実に稼げた。

 

 

得てきたものを何にどう反映するかは、これからの私次第ですね。引き続き、見守っていただけましたら幸いです。

 

ここに書ききれなかった雑記は、noteにアップしています。写真も一部違うので、よろしければ。