インタビュー企画「生き方事典」、おおむね好評のようでありがたい限りです。「あの人、面白いね」っていう声が聞こえてくるのが嬉しい。媒介として良い仕事できたなって思います。
まだ読んでいない方のためにお伝えしておくと、1人目は「1週間で会社を辞める決断をしちゃった」書道家の話。
そして2人目は「当日突然思い立って店を始めちゃった」デザイナーの話でした。
……なんて急な人たちなのでしょうか(笑)。※褒めてます
別に「突然の人シリーズ」を狙ってこの2人に取材したわけではなくて、私もこんなに突然の決断をしていたって知らなかったんです(聞いたことがあったかもしれないけど記憶にはなかった)。たまたま2人ともそうだったというだけ。
そして、2人とも「突然」の決断をちゃんと軌道に乗せて進んでいっているんですよね。
そんなわけで今日は、「突然」というか「直感的な判断」と言い換えていいかなと思うのですが、そんな話がしたいと思います。
よく言われますよね、「直感に従え」とか「考えるより感じろ」とか。延々と頭で考えるよりも、ぱっとひらめいたほうの答えが正しい、みたいな。
直感の威力は、自分の威力
直感の威力、たしかにあると思うんです。頭で考えるばかりだと、頭の中でぐるぐるこねくり回しているうちに、本質を見失ってしまうことってよくありますし。
でも、「なぜ直感ってこんなに威力があるのだろう?」ってちょっ不思議だったりもしますし、逆にやみくもに「直感で決めました!」っていうのも刹那的というか、決めたことを長く続けられないケースも多いように感じています。
なぜ直感が大事か。なぜ直感的な判断だとうまくいくのか。
自分の中にあるものすべてを総動員して答えを出せるから
というのが私の答えです。
「直感は、自分の経験が豊富にある分野においてのみ正しい」という言葉を、この本↓で読んで以来ずっと心に留めているのですが、
結局、直感の出所は自分の中ってことなんですよね。自分が見たり感じたり考えたりしたこと(経験)、無意識のうちに得ていたもの、そのすべての中から出てきた検索結果なのではないかと。
よく「顕在意識は氷山の一角」みたいな言い方をしますが、頭で考えるときに使えるのはその氷山の一角だけ。直感は残りの部分まで余すところなく使っている、というイメージかなと個人的に考えています。
実際、冒頭でインタビュー記事を紹介した2人とも、別に突拍子もないことを思いついたわけではなくて、どちらも厳密に言うと「どこかで思っていたことがたまたまこのタイミングで現実化した」という感じです。
目時さんの場合は、書道は将来的に活かせたらいいな…という雰囲気だったようです。
もともと書道は高校を卒業するまでやっていて、10年弱ぐらいブランクがあったんですけど、また趣味として始めていたんですね。30代後半ぐらいからかな、独立する数年前から、老後の楽しみとして自分のスキルを使って何かできればいいなあ…みたいなことは、ぼんやりと思っていました。
ようこちゃんの事務所ティラミスが「風を売る商店」を始めたのは当日でしたが、一緒に働いている松村さんの証言はこちら。
最初に店やりたいって言ったのはこの人(ようこちゃん)なんですよ。「デザインやってるのに店やりたいって、何言ってるんだ!?」って思ったんですけど(笑)、しばらく経って、グッズを売ろうって思ったときに、「そういえば店やりたいって言ってたな…」って。
だから、直感の威力があるということは、ある意味「自分の威力」でもあると思うのです。
ただ逆に言うと、急に神様レベルのものすごいことは降りてこないとも言えるでしょうが…(笑)。
直感を信じる=自分を信じる
ということは。
直感は自分の中から出てくるものなのだから、「直感を信じる」って「自分の中にあるものを信じること」。それってつまり「自分を信じること」なのではないか?
直感を信じることは、自分を信じること。
言い換えると、「自分を信じられる人が直感を信じて決断できる」ということになるのかな。
もしかしたら、「直感は天から降ってきた贈り物!」みたいに思っていたほうが信じやすい人もいるかもしれません。自分を信じるよりも天を信じるほうが簡単かもしれません。
でも、そう信じるのもアリだとは思うのですけど、直感で決めたことを行動に移して実現するのって、自分なんですよね。何もかもを天がやってくれるわけではなくて。
さっきも少し書きましたが、なんとなーく、「直感で決めました!」という言葉だけが多くて、「その決めたことはどこに行ったの?」というケース、わりと多いように思うのです。決めたはいいけど、現実になる前に全部やめてしまう。
自分を信じられるかどうかって、直感を信じるかどうか以上に、「直感で決めた何かを現実にするプロセス」で差がつくのかも、と思っています。
直感で決めて、思考で現実に落とし込む
個人的にわりと意識していることなのですが、
- 何かを決断するときは直感で
- 決断したことを現実にしていく過程は思考で
という役割分担を自分の中で作っています。
「やりたい!」を「やろう!」にするまでのプロセスでは、できるだけ頭を使わない。やりたいならやると決める。
でも、「やろう!」と決めたら、あとは一生懸命考える。どうしたらやりたいことが現実としてやれるのか。その辺の作戦は頭をひねって決めます。
いくら直感で良いことが思いついたとしても、それだけでは何の形にもなってくれません。たとえ自分が「やりたい!」と思って好きなことを仕事にしても、他人から求められなければ仕事にはなりません。そこのギャップを埋めるために頭を使う。
ここまで読んでから、改めて2人のインタビューを読み返してみていただくと、あちこちにちゃんと行動の形跡が見てて取れるはずです。ただ勢いで決めて終わっていない。だから突然の決断(のように見える何か)の後、ちゃんと現実にしてここまで来れているのだよな、と。
当たり前のことなのだけど、考えて行動して前に進むって意外と簡単ではなくて、みんながやれているわけでもないんですよね。
いろいろな人生を知れば生きやすくなる
「生き方事典」のインタビューは、できるだけ「生き方に迷う人の参考になってほしい」「こういう生き方もあるんだと知ってほしい」と思いながら編集しています。
何もかもが行き詰まってしまっているように見えるとき、いろいろな人に会い足りないのではないか、いろいろな人生を見足りないのではないか、と思うことがあります。
世界は広くて、本当にいろいろな生き方をしている人がいて、いろいろな形で幸せに暮らしている人がいるものです。苦しいときって、それに自分が気づけていないだけだったりします。
でもさすがに世界中の人に会うのは無理だから、せめてインタビューで少し視野を広げてほしいと思うわけです。
ぱーっと読んで「面白い人がいるなあ」と思ってもらうのも良し。刺さった言葉を心に留めておいてもらうも良し。読み方は人それぞれで良いと思うのですが、いつもの自分が考えないことに気づけたら、さらに視野が広がると思っています。だから、こういう記事も引き続きちょこちょこ投入していきたい。
今日はたまたま「突然の決断」「直感」の話にしましたが、少しでも読んでくださっているあなたの人生の栄養になったら嬉しいです。
で、「生き方事典」3人目の方の取材も、実は先日終えています。これまた私が知らなかった(というかほとんどの人に言っていないらしい)衝撃のお話を伺ってしまいまして、どのようにまとめようか、気づくとずっと考えている感じです。
お金に結び付けないことで「本当に好きな人だけを紹介したい」と思ってやってますが、人を紹介するというのはどんな形であれ責任重大ですね。魅力を生かすも殺すも私次第。良いプレッシャーです。
次回もどうぞお楽しみに。
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