「好き」の入口はどこにある?アートの世界から探ってみた

久しぶりにアート系記事…といっても、別にアートに限ったことのない話で、「興味を持ってもらうには?」みたいなことを書きたいと思います。最近思ったことのまとめみたいな記事です。

 

「あ、これ好き」と思う瞬間って私個人としてはいろいろあるのですが、自分の好きなものを好きだと堂々と表明するのは、なんとも勇気が要る行為になってしまっています、少なくとも日本国内では。

それに、そもそも情報量がとてつもなく多い今の時代、世の中は入ってくる情報をできるだけ「削る」方向に進んでいます。要らないもんは要らない。いっぱいいっぱい。

 

私自身も一応「アート」みたいな世界に足を突っ込んでいて、できたら自分の生み出すものを好きになってほしい人間です。アートに限らず、いろんな世界でそういう人はたくさんいると思います。

でも、無名の自分がただ何かを差し出しても、普通は見向きもしてもらえません。

じゃあどうしたらいいの?というのをわりと年中考えているので、そんな話を記事にしたいと思います。最近接したいろんな(アート系の)ものから探ってみた話です。

 

「好き」の入口①OZマガジンから探る

今発売されているOZマガジンは、アート特集。たしか昨年も似たような感じだった気がします。

1冊まるごとでなくとも、女性誌にアートのページがあるケース、少し増えているような気が(私がdマガジンで追えている範囲内の話だけど)。

で、アート特集として真っ先に登場するのが「旅」なんですね。

青森の十和田美術館とか、新潟で開催中の越後妻有アートトリエンナーレ2018とか、地方のアートを紹介しつつ、周辺の観光地やホテル、食べ物などが紹介されています。

後半には、ミケランジェロやモネ、ムンクなど著名な作家の展覧会を取り上げて、作品の見かたを解説しているページもあるんですが、美術館近くのグルメがさらっと混ぜてあったりして、アート単独で見せているわけではありません。

 

雑誌を開いてみると、「これ、見たい!」というよりは、「これ撮りたい!インスタにアップしたい!見せたい!」みたいな気持ちにさせられる写真が多い印象です。たしかに今の時代、「見たい」で終わられては正直困るんですよね。SNS拡散まで考えないと…。

あくまで個人的な感想ですが(編集した方々の意図はもちろん知りません)、

  • アート=ファッションアイテム的なもの(=フォトジェニックで自慢できる)
  • 「アートを見る」というよりも、旅の中に含まれる周辺体験まるごとおすすめ

という伝え方だなあと。

だからアートって楽しい!というよりも、「アートのあるところに旅するって良くない?それやってる私って素敵じゃない?」的な感じなんですね。良し悪しではなくて、そういう感じがするなあっていう話。

 

アートは旅への入口というか、「フック」みたいな存在なのだなあ…とOZマガジンをぱらぱらめくっていて思いました。この見せ方だと、たぶんアートにどっぷりハマる人は少ないけど、そこはもともと狙っていないのでしょう。「アート旅」ならハマる人がいそうな気がする。

そもそも地方のアートって「地域おこし」「地方創生」的な意味合いがあるはずで、観光客を増やすことも目的の1つだろうと思います。だから、ある意味とても正しい取り上げ方だし、観光客が楽しめて地方も潤うなら最高ですよね。

 

「好き」の入口②「モネ それからの100年」から探る

次に紹介するのは、横浜美術館で現在開催中の「モネ それからの100年」

個人的にすごく気に入ったので、めったに買わない図録を買ってしまった。

夏休みということを差し引いても、会場はかなり混んでいて、チケット売場は行列でした(最近はスマホチケットもあるので事前購入がおすすめ)。

モネは睡蓮で有名な画家ですが、横浜美術館の展示は最近SNSで話題になっているのをよく見かけるので、いろいろすごく頑張ってるのだろうと勝手に思っています。モネの知名度も人気の理由でしょうけど、それだけじゃないような気がしています。

 

この展示、モネの作品もたくさん見られるのですが、実際には、モネの後に活躍した作家や現在進行形で活動中の作家の作品がかなり多かったです。しかも、抽象画がけっこう目につきました。

抽象画って苦手意識があるというか「わからない」と毛嫌いする人がかなり多いのではないでしょうか。

わからないなりに「色がきれい」とか「形が面白い」とか、感じ方はいろいろあるとは思うのですが、人間わからないものってうまく受け取れないことが多くて、「わからない」で終了してしまいがち

でも、モネと並べて展示されていて、関連性や影響が説明されていたりすると、とりあえず見るし、理解しようとするわけです。また、夏休みの展覧会ということもあって、小学生でも理解できるような解説が要所要所に付いていました。

 

解説の内容は切り口の1つでしかないかもしれません。感想は自由です。でも、「わからない」状態ではどこも切れない。だから、「わかる」ように見せるし、「わかる」ように文脈を作るし、「わかる」ように説明するわけです。

展覧会は「編集」だなあとつくづく思います。膨大な数の作品の中から、何をどういう切り口でどのように見せるのか。その「編集」をとても上手にやっていて、モネ以外の作品にもある程度興味を持てるように作られた展示だなというのが個人的感想です。

 

ちなみに今回このモネの展示を見て、私は本当に色とか光とか空気感みたいなものが好きで、写真を使って絵を描きたいのだなあとはっきり認識しました。以前からある程度わかってはいたけれど、作品に触れなければここまではっきり気づけなかった「好き」なんだよなあ、と。

 

「好き」の入口③Webで「好き」の入口を見つける

今は本当にスマホで何でもできてしまう時代で(私なんて作品創ってるしw)、「好き」の入口もWebが最も手軽だろうなと思います。

「好き」をまとめておくツールとして、Pinterestがあります。日本ではあまり流行っていないようですが、気に入った画像を「ピン」することで、まとめて見ることができるツールです。

※私が作品づくりのヒントを得るために作ったボード。非公開にしてるので普段は私しか見れません。ピンした画像は、こんな感じで一覧表示されます。

 

Pinterestは「好きを発見するお手伝い」がミッションだそうです。

画像に限られますが、「こういうものが好き」って直感的に選んでいくのはすごく楽しくて、夢中になると時間を忘れるレベル。いろいろな画像が流れてくると、連鎖的に「あ、これも好き」「こっちも好き」みたいになってしまう。

自分でものづくりをする人なら、「創ってみたい」につながるでしょうし、ピンしていくうちに、なんとなく自分の好みも見えてきます。「私はこういうものが好き」と公開しておくことで、感覚の近い人とつながれるかもしれない(私は非公開にしてますが、公開もできます)。

 

もう1つ、アートというか音楽の話なのですが。

最近は音楽の聴き方として、SpotifyとかApple Musicなどの「サブスクリプションサービス」が伸びています。有料ですが(月額制)、相当な数の音楽が聴き放題になるサービスですね。CD買うよりも、配信で買うよりも、ずっと安い。

で、そこで好みの音楽を聴きつつ、別の音楽を「ディグる(=掘る、探す)」という話をよく聞きます。

たしかおすすめしてくれるんですよね、自分の聴いている音楽をもとに別の曲を。おすすめされたものを聴いてみたら「あ、これもいい!」となって、新たに自分のお気に入りに加わる。もしかしたらライブに行きたくなるかもしれない。

 

どちらも「好きの連鎖」が起こる仕組みだし、「出会い支援サービス」なんですね。

「おすすめ」というのは、基本的に自分の好みを何らかの方法で理解したうえでなされるもの。カスタマイズされた情報です。「自分に合った情報」って言われると、その辺に転がってるものよりも信頼できそうな気がしませんか?

 

まとめ。

  1. 興味のあるものとの組み合わせ。
    アート×旅。モネ×抽象画。好きな曲×そこからわかるおすすめの曲。
  2. 「わかる」ようにする工夫。
    既にわかっているものとの組み合わせ。丁寧な説明による「自分ごと」化。
  3. 「好き」を連鎖的に掘っていける仕組み。
    音楽のおすすめ機能とか、好きな画像を発見できる仕組みとか、出会いの支援。

…というのがこの記事から見えることのまとめかな、と思います。さらに付け加えるなら、自分が「誇らしい」と思えるようなもの。褒められるようなもの。SNS時代ですからね。

 

興味を持てるものが多ければ多いほど人生楽しそうだな、と個人的には思う反面、人間って基本的に自分にしか興味がない生き物だとよく言います。

そんな中で、自分以外の何かに興味を持ってもらうとしたら?

わかる人にだけわかればいい、という考えもあるでしょうが、個人的には常に探求しておきたいテーマです。

 

 

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