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文章の書き方 ひとりごとコラム

21年前の大恥は、埃みたいなもんだった。

投稿日:

実家の母は、私が子どもの頃のいろいろなものをいまだに取っていて、

教科書もノートも通知表も賞状も、だいたいきれいに残っている。

 

先日実家に帰ったとき、中学2年のときに書いた作文が発掘された。

 

 

実はこれ、地域の文集に掲載されたもので、「入選」の賞状と一緒に、

ご丁寧に掲載ページのコピーまでファイルされていたのだ。

それと、学校に提出したと思われる手書き(初稿?)の元原稿も。

 

この作文にはちょっと思い出がある。

 

中学時代、私は陸上部に入っていたのだけど、

当時、仲間にも言えないような想いをぐるぐると抱え込んでいて、

実は、部活に行くのが苦痛で苦痛でしかたがなかった。

もともと体があまり強くなく、風邪を引きやすいほうだったのを良いことに、

仮病もずいぶん使った記憶がある。20年以上経ってるので時効よね。

 

その仲間にも言えないような想いを、私は思い切って作文にぶつけた。

 

選ばれれば文集に載る、ということは知っていた。

でも、選ばれるのはたしか学年に1人か2人。確率は低いし選ばれた経験もない。

作文はそれなりに得意だったけど、まあ今回に限って選ばれることはないだろう。

 

提出期限ぎりぎり、先生しか読まないだろうから何でもいいやと思って、

それまで封印していた心の奥の叫びを、原稿用紙に思い切りぶつけてやった。

ここまでの自己開示は、当時の14年間の人生で初めてだったと思う。

 

その結果。

 

過去にはどんなに頑張って書いても選ばれなかったのに、

こんな文章を書いたときに限って、文集にどーんと掲載されてしまい、

しかも担任の先生は、クラス全員の前で私の作文を音読しやがった。

 

逃げるか消えるか何かさせてほしかった。

 

クラスには同じ部活の仲間もいる。これを聞いたらどう思うのか。

間違いなく皆に嫌われる。部活にいづらくなる。もう、どうしてくれるのか…。

 

いろいろな想いを頭に駆け巡らせながら、私はうつむいて必死で涙をこらえ、

できるだけその音読を聞かないようにした。一言も耳に入れたくなかった。

音読が終わっても、この身をどこにどう置いておけばよいのか、まるでわからなかった。

 

休み時間に入ってすぐ、同じ部活のクラスメイトが私のところにやってきた。

「そんなことを思っていたなんて知らなかった、ごめんね」と、彼女は泣いた。

 

 

想いはちゃんと伝わる。

 

 

伝えたいことがあるなら、まっすぐに伝えたらいい。

嫌われるかも、怒られるかも、誤解されるかも…うん、そうかもしれない。

でも、そのリスクを背負ってでも伝えたことは、まっすぐ相手の心を刺す。

怖いけど。大事なことほど怖いけど。今でもしょっちゅう怖いけど。

 

 

そんな思い出深い作文を、発掘された記念に読み返してみた。

 

あんなに思い入れのある作文だったのに、けっこう辛い経験だったのに、

文集に掲載されて賞状までもらって、渾身の作だと記憶していたのに、

読み返してみたらひどい駄文で、大した自己開示もされていなかった。

 

14歳の自分には死にそうなほどの大事件だったはずが、

35歳の自分には1%も響かなかった。記憶を疑ってしまうほどに。

 

そんなものなのだ。

 

「ああどうしよう、もう死んでしまいそう」と思うようなことも、

一度経験してしまうと、体力や免疫がついて、次からは大したことではなくなる。

 

思春期ぐらいって特に、着こんだり殻にこもったりしたくなるもんだけど、

余計な服を脱ぎ捨てて、生身で人とまっすぐ向き合うことを覚えていくのが、

歳を重ねて大人になっていくということなのだろうか。

 

14歳の私は、コートの前ボタンを1つ開けるだけでも必死だったのだろう。

35歳の私は、裸でも動じないような生き方がしたいと思っている。

 

 

-文章の書き方, ひとりごとコラム

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