oikawachie official website

雑食系フリーランス 及川智恵/世界には、人の数だけ「面白い」が溢れている。

ひとりごとコラム

牛乳石鹸のWEBムービーを見て、人間ってこんなもんだよなあって思う

投稿日:2017年8月19日 更新日:

Twitterあたりで数日前からずいぶん騒がれていて、Yahoo!ニュースにも出たようなので、ご存知のもいらっしゃるでしょうか。牛乳石鹸の動画の件。

 

 

動画の流れや反応は、この記事がわりと詳しいかな。

「さ、洗い流そ。」牛乳石鹸のPR動画に困惑が止まらない…”珍説”も登場

 

私、実際に動画を見る前にTwitterでいろいろな反応を見てしまっていて。

最初の頃は、ほぼ「炎上」しているように見えていたので、いったいどれだけのものなのか…と思ってたんですが、今回はよくある「炎上」とはちょっと雰囲気が違う感じがしていました。

時間が経つとともに意見が割れていく感じに見えたのですよね。批判もあるけど、意外と共感もある。全然違った視点からの意見もちらほら。果ては、もはや大喜利?みたいなものまで(笑)。

 

で、自分の目で見た結果、これは最近痛烈に感じてることに近いなあと思い、書き留めておきたいと思ったので記事にします。言うまでもないですけど、私個人の感想であり意見です。

 

 

炎上するのはある意味とても「正しい」

子どもの誕生日ケーキを頼まれて無表情だったり、バスに乗っている様子もどこかモヤモヤ感が漂っている。

家族のことが嫌いなわけじゃないんだろうけど、ゴミ捨てやらケーキやらプレゼントやら、あれこれ頼まれるのはあまり嬉しそうに見えない。

 

「家族思いの優しいパパ、時代なのかもしれない。でもそれって正しいのか」

 

…少なくとも今の時代的には「いや、正しいに決まってんだろ」って話なんですよね。男性も育児に参加するのが当たり前といわれる時代だから。

少し前は、「男は仕事、女は家庭」だったと思うんだけど、今ってこれがどんどん崩れていて、男女とも働き、男女とも家事をする…みたいなのが一般的な考え方になりつつあるんじゃないでしょうか。

そうなると、子どもの誕生日に飲みにいってしまった行動は「正しくない」わけだし、帰宅して奥さんに「何で飲んで帰ってくるかな」と一言食らってしまうのも無理はない…ってことになる。

 

おそらく奥さんは、ゴミ捨てと買い物どころじゃないぐらいの家事を担ってて大変でしょう。朝のシーンでスーツ着てるように見えるので共働きっぽいし。まして子どもの誕生日。よりによってそんな日に飲んでくるか、と。

子どもだって待ってたんだもんね。パパとママ両方にお祝いしてもらえるのを。まあ最終的に、ちゃんと3人でお祝いする感じになるんだけど。

 

今の時代として「正しい」生き方だとしたら、お父さんは飲まずにまっすぐ帰ってこないといけなかった。お風呂で洗い流してる場合じゃねーよ、って燃えるのもわかる。

 

 

私は「正しい」毎日を生きられるだろうか

でも、一方でいろいろなことを考えます。

もちろん、企業の作る動画ってマスに影響を与えるものだから、あまりに「正しくない」ものはふさわしくないんだろうけど(明確に差別的なものとか絶対まずいしね)、でも。

 

 

会社の後輩を励ますのは正しくないのか。

怒られている様子を見ていたら、どう考えてもその日のうちに誘わないといけない案件だったと思うんだよなあ。たぶん翌日とかじゃダメだった。

会社員としての部分「だけ」を見たら、とても正しい行動だったようにも思えるんです。後輩としては、ああやって誘ってもらって話ができて、救われた部分が必ずあると思うし。

 

家族以外を大事に思うことは正しくないのか。

それに、家から電話がかかってきたときの表情。家族が大事じゃないわけじゃ決してないと思うの。どっちも大事なんだよね、仕事も家族も。選ばないといけない場面が生じてしまうのが本当に酷。

私にだって大事なことはいっぱいあって、選ばないといけないときは「苦渋の選択」って思う。家族に代わりはいないし、子どもも大きくなってしまうから今だけ…などと言うけど、他に大事なものがあることって間違ってるだろうか。

※実は私がこの動画を見て一番強く感じたのは、「選べないよなあ…全部大事だもんなあ…」でした。

 

一生涯、正しい生き方を選び続けられるのか。

仮に、「家族を何よりも優先すべき!」という価値観が正しいとして、それを一生涯守り通して生きられるかと言われると、私はまるで自信がないです。そもそも自分の家庭を作っていない時点で間違ってるって思われるかもしれない。

家族のことに限らない。世の中には「こうあるべき」っていう見えない縛りが本当にたくさんある。テレビでは毎日のように、そこから外れた芸能人がこてんぱんに叩かれているわけですけど。

でも、人間ってそんなもんじゃないのかなあ。ずっと正しくいられる生き物だろうか、私たちは。絶対踏み外すことはないって約束できるだろうか。

 

 

理想を追うことと、現実を生きること

理想として「こうあるべき」って言われていることはたくさんある。

男女の役割の話なんかはわかりやすいと思うけど、これって私の記憶する限りずっとずっと言われてることで、理想通りに世の中が進んでいたら、もう世間はイクメンしかいなくて、イクメンって言葉さえ要らなくなってると思うの。

でも、現実は必ずしもそうなっていなくて。

 

少し前に読んだんだけど、雑誌「レタスクラブ」の編集長の記事を思い出します。

 

世間を見渡すと「男性が育児するのは当たり前だよね」という風潮なんですが、リアルな読者を見るとそうでもないんです。そこに「イクメン」とか言って、夫が一生懸命家事している姿を見せてもイラッとさせちゃうだけ。読者からしたら「あなたはいい旦那さんがいていいわね。でもうちはちがう」で終わっちゃうんです。

出典:「正しさ」を押し付けられても辛いだけ。『レタスクラブ』が読者の“共感”を大事にする理由

 

世間で言われてる「こうあるべき」論って、多くの人にとって「現実」ではなくて「理想」でしかないんじゃないだろうか?

もちろんちゃんと「現実」になってる人もいると思うんだけど、いろいろなところで見聞きするほどには、現実は変わっていないんじゃないだろうか?

 

理想と現実の間に、けっこう大きな隙間があいているような気がしているのです。狭間に落ちてしまって苦しんでいる人、けっこういたりするんじゃないかと思ったりするのです。

 

差別のない世の中。他人の価値観を否定しない世の中。いろいろな理想が、けっこう前から掲げられっぱなしのような気がする。でも、掲げられっぱなしってことは、裏を返すと実現してないってことでもある。

理想はわかっているけど、それを追いかける余裕がない…そんな日常を生きていたりもしますよね、私たちって。そんなことないかな。私は正直、自分のことでけっこう精一杯で、思いたくても思いきれない人とかモノとかいろいろあるよ。

 

 

結局、一生懸命生きるしかなくて

理想としては、家庭が円満で、仕事もうまくいっていて、職場でのコミュニケーションも完璧で、家事分担もきれいにできていて、二人で責任を分けあえて、子どもとも楽しく遊んでいられるような愛あふれる家庭なのだろうけど。

 

でも現実としては、そういう理想が頭の中にありながらも、そこに手の届いていない人がたくさんいるはず。だいたい、人間って生きるだけでも重労働なわけで、理想なんて見る余裕がない人だって大勢いるでしょう。

「理想なんてくそくらえだ」と思ってる人も、たぶん一定数いる。それは、自分があまりに理想から遠いところにいるからこそ、嫉妬的な感じでそう思う人もいるだろうし、本当に価値観の違う人もいるでしょう。

 

「炎上」という言葉が普通になった。それだけ炎上する事案があるということであり、炎上させる人がいるってことなんだろうと思う。他人を燃やさないとやっていられない人がいるってことだと思う。

人を叩くような報道が増えた。あっという間に社会的制裁を受ける芸能人。叩かないとやりきれないような苦しい人が増えたのかな、とぼんやり思いながら見ている。

 

私たちは正しさだけじゃ生きられない。生きられないのだけど、正しさで物事をはかってしまう。それはきっと、そのほうが簡単だから。疲れているときに、簡単なものは魅力的だ。

 

現実は苦しい。理想は遠い。日々選択に悩み、間違いを犯すこともあるかもしれない。

でも、たとえそうであっても、自分の人生を何とか生きるしかないのだよな、と痛感します。少しでも自分なりの理想に近づけるように。

というかそれ以前に、今日1日を少しでも無事に生き抜くために。

 

 

※おまけ

牛乳石鹸のPRとしては…「どんなときも、どんな人生にも、寄り添いますよ」ってことなのかな。わかりやすいかと言われるとちょっと難しいし、テレビCMだったら完全にアウトだと思うんだけど、これたぶんWEBだけだよね。

少なくともこれだけ話題になったら、知名度はある程度アップしてると思うんだけど、売上とかはどうなるんでしょう…。ちょっと気になります。WEB見ない人もいるだろうし。

 

 

-ひとりごとコラム

執筆者:

関連記事

「自己啓発本は役に立たない」と思っているあなたへ。

じこ‐けいはつ【自己啓発】 本人の意思で、自分自身の能力向上や精神的な成長を目指すこと。また、そのための訓練。(デジタル大辞泉より)     「自己啓発本」という一大ジャンルがある …

真面目な人は、自ら壊れることを覚えたら最強だと思う。

たびたび思ってきたことを、ちょっとまとめておこうと思います。何かしら参考になったら嬉しいです。 けっこう感覚的な話なのだけど、どこまで伝わるかなー。   壊れ方を知れ。たまに自ら壊れよ。特に …

夜はひとり、こっそりと繭を編む

  夜をこよなく愛している。 これを書いている今も、既に午前2時だ。   街から離れ、人から離れ、世の現実から離れ、一人で自分の部屋にいると、余計なことを何一つ考えなくて済むような …

21年前の大恥は、埃みたいなもんだった。

実家の母は、私が子どもの頃のいろいろなものをいまだに取っていて、 教科書もノートも通知表も賞状も、だいたいきれいに残っている。   先日実家に帰ったとき、中学2年のときに書いた作文が発掘され …

妄想を現実にしてしまえプロジェクト。

  私が長らく展開している魅力カルテというサービスでは、お客様の過去・現在・未来についてインタビューさせていただくのですが、お客様から「子どもの頃、妄想大好きでした」っていう話をよく聞きます …

What’s New

【What’s New】
*最新情報をお知らせします*

エッセイ集「人間観察日記」Amazonで発売中!

フォトブック「レンズたちのむこう側」発売中!

 

「雑食系フリーランス月報」
↓↓近況や内緒話など毎月5日にお届け中↓↓
メルマガ登録フォーム
お名前  *
メールアドレス  *