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雑食系フリーランス 及川智恵/世界には、人の数だけ「面白い」が溢れている。

ひとりごとコラム

今日が最後かもしれないのに。

投稿日:2017年3月11日 更新日:

あれから6回目の3月11日。

私はおかげさまで、あのときと同じ家に住み、同じような仕事をして、同じような毎日を送っている。

 

東京在住の私は、直接的に被災はしなかったものの、震度5の揺れは初体験で、十分に恐ろしかった。長い長い揺れが続き、本棚の中身がばさばさと落ちていく様子を、おろおろしながら見ていたのを思い出す。あの日からすっかり、ほんの小さな揺れにも敏感になってしまった。

 

この日がやってくると必ず聞かれるようになったのが、「明日がどうなるかわからない」「当たり前なんてない」「だから1日1日大切に生きよう」「大切な人を大切にしよう」みたいな言葉だ。なんでもない日常がこのまま続いていく保証なんてどこにもないのだ、というような。

まったくもってその通りだ。6年前のあの日に日本中が見せつけられた通りなのだ。よくわかっている。私だってわかっている。

 

「いざというとき、人にお金をぽんっと出せるぐらいに稼ぎたい」

 

あの震災を境に、私はたしかにそう誓ったはずだった。

それまでは、自分が暮らせる分があればそれで十分だと思っていた。でも、自分の暮らし自体も、もう少しランクアップさせたかったし、その上にさらに、人のためにお金を使える人になりたい、それぐらいまで稼ぎたい、とたしかに思ったのだ。そうなれるように、日々を大切に生きていこう、やるべきことをちゃんとやろう、と。

 

6年間、私は何をしていたのだろうか。

 

思った以上に、私は何も変わっていない。まあ少しぐらいの成長はしているのかもしれないけど、改めて振り返って愕然とする程度には何も変わっていない。なんというか、のんべんだらりんと生きてしまった感がぬぐえない。6年間生き延びてこられたから良かったものを。

1日1日を大切に生きなければいけない、やりたいことが明日できるとは限らない、頭では重々承知している。でも「明日でいいや」「今度でいいや」が積み重なって、いつの間にか「どうでもいいや」になっていることがどれだけあることか。

お前、それ本当にどうでもいいのか?本当にいいのか?

あの日見せつけられたものは、私の心にも相当の爪痕を残していると思っていたのに。もっと実感が強くないと私は動けないのだろうか?もっともっと痛い目に遭わないといけなかったのだろうか?

 

無意識のうちに、私はいろいろなものを諦めていなかっただろうか。

 

 

明日どうなるかわからないから、今日のうちにできることを…という考えもあるけど、逆にだからこそもう何もしない…という選択もあるのだと思う。大きな夢を描いたとしても、叶えられるかどうかなんてわからない。明日すべてが終わったとしても、ほどほどで良いと思っていれば後悔だって少ない。だったら、自分の人生に期待なんてしない方がいいのだ、と。

小さな幸せを感じられるのは素晴らしいことだし、絶対に大きな夢を追わないといけない…なんてこともないのだけど、「変な言い訳をして望みを諦める」というのはどうにも美しくない。「日々を大切に生きる」ことからも外れてしまっている気がする。

 

日々を大切に生きるというのは、自らの望みに素直になって、1つ1つ叶えていくことなのかもしれない。ささやかであっても、大きなものであっても、1つ1つ順番に。そのためには、自分が何を望んでいるのか、自分と丁寧に対話することも含むのだろう。

 

今日はSNSにも、「明日は当たり前でない」といった類の言葉が躍っている。今の私にはそれを言う資格がない気がしてならない。上っ面の「わかったふり」しかできそうにない。そして、来年もまた上っ面投稿を繰り返してしまいそうな気がして、素直に怖い。

だから、きれいな言葉ではなく、こんな文章を残しておく。6年間を振り返ることで負ってしまった傷として。

 

私はいまだに、あのときと同じ家にしか住めておらず、同じような仕事しかできておらず、同じような毎日しか送れていない。

胸が痛い。

 

 

-ひとりごとコラム

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