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読書の記録

【自分思考】マザーハウスの裏側にあった心の変化を読む

投稿日:

今日紹介する本は、こちら。

「途上国から世界に通用するブランドをつくる。」というコンセプトで、バッグやストール、アクセサリーなどを途上国で作って販売しているマザーハウスの代表でありデザイナー、山口絵理子さんの本。

 

途上国で何かを作ろうという場合、「安く作れるから」という発想がほとんどだろうと思うんだけど、マザーハウスはそうではなく、日本できちんとブランドとして成立するような品質&価格の商品を作っています。

そうなると当然、途上国の生産者さんたちにも、相応の対価(給与)が支払われることになりますよね。ファストファッションなんかだと、現地の環境や待遇が劣悪だっていう話をたまに聞きますが…。

 

何はともあれ、山口さんは、20代の頃から私が尊敬する人のひとり。同い年なんですけど。

 

※普通にマザーハウス好きなので、商品もいくつか持っております。トートバッグ欲しいなあ。

 

 

「自分思考」

この本は、山口さんのエッセイ(2017年現在、唯一のエッセイかな?)。もともとは2011年に書かれたもので、現在は文庫化されています(本記事でリンクしているのは文庫版です)。

「やりたいことの見つけ方」について、「みつける」「一歩踏み出してみる」「つづけてみる」という3つの章にわたって書かれています。起業予定の人でなくても、キャリアに悩む人なら誰でもヒントになるかも。

起業してからやってきたことを振り返ると、誰よりも自分自身の声を聞いてきたということ。外から誰かの意見を聞くよりも、自分の中で考えたり悩んだりする時間で溢れていたということ。それで、「自分思考」だそう。

 

まえがき部分に書いてある言葉が、既に胸を刺しますねぇ。

「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?」
(p.16)

具体的に誰のどんな発言なのかは、実際に本を読んでいただくとして。

 

 

第一章 みつける

学生時代にはやりたいことがなかったという山口さん。でも、そこから大きな夢を見つけて、25歳で起業するわけです。

 

とにかく動くこと。自分の目で見て、自分の心で感じること。

ものすごく集約してしまうと、こんなところなのかなと。

 

既存の概念ややり方、価値観に疑問を持ち、そして、それを自分の足で確かめてみること。その姿勢が自然と道がないところに道をつくっていくのだと思う。
(p.48)

 

客観的な意見に人はついていくんじゃない。正しいかどうかわからなくても、そして、おかしくて未完成であっても、とびきり強い主観に人は引かれ、人が集まる。
(p.57)

 

何かと「客観的なモノの見方」とか言われるけど、やりたいことを見つけるとなったら、その前に主観がとても大事なんだよね。

で、主観的な意見を持とうと思ったら、自ら体験しなければいけない。だって、誰かから聞いた情報とか口コミばかりインプットしても、それって他人の意見であって自分の意見ではないから。

口コミでおいしいと評判のレストランだって、自分で食べてみなければ、自分自身もおいしいと感じるかどうかなんてわからない。それと同じことで。

 

また、主観で動くということは、責任を負うことでもある。「あの人が言ってたのに!」みたいな逃げ場がないわけだから。当たり前だけど、自分の人生の責任は自分で負う。

自分が見て体験したものを、自分のフィルターを通して考えて、自分の責任で行動に移していく。やりたいことをやるってそういうことなのかな、と思ったりします。

今って情報が半端なく多いから、ぼーっとしてると主観って簡単にどっか行っちゃうよね。行動しなくてもわかった気になってしまったりもするし。

 

 

第二章 一歩踏み出してみる

踏み出す一歩は小さくてもいいのだと思う。一歩であっても、やるのとやらないのは大違いだから。

でも、本当にやりたいことに向かうのであれば、それなりの勇気とか覚悟とか強い決意とか、そういったものがどうしても必要で。

 

他に選択肢のない人と、失敗しても違う道がある人の顔つきはまったく違うし、言葉の重さも変わってくる。そうすると、その人の描く夢に賛同しようと思う人の数も自然と変わってくる。退路を断つのは、本当に勇気がいる。
(p.75)

 

退路を断つべきかどうかっていう話は、私の周りでもたまに聞こえてくる話で、完全に退路を断つと不安になって、思い切ったことができないから、きちんとリスク管理をすべきっていう話もよく聞く。たしかにそれも正しいと思う。

ただ、人間ってそんなに強くないから、別の道があるとやっぱり甘えてしまうことがある。だから、やっぱり退路は断ったほうがいいのかもしれない。世の中、心の底から勇気を出した人には優しいことが多い。

この「退路を断つ」って、個人的には「失敗しても何度でも踏み出せるか」ってことかなと感じました。もうこれをやるしかない。失敗してもこれしかない。だから、何度でもぶつかっていく、みたいな。

 

そして、この部分がとても好きです。

 

同じような業種の人たちとの集まりで、私は大勢の前で散々笑いものにされてしまったことがある。(中略)本当に悔しかった。でも、その悔しさは、他人の目を気にして悔しいわけじゃなかった。自分が大切にしている何かに対して、自分がそれを守るほど成長できていない、自分に対して悔しいという思いだった。もっと大切にしたいという思いだった。
(pp.77-78)

 

恥ずかしいからじゃなくて、自分に対して悔しい。

この感情が持てるほどに大事なこと、やりたいことがあるって、すごく幸せなことだと思う。それと同時に、やりたいことってこれぐらいの気持ちで取り組むんだよなあ、それが自分への敬意だよなあ、とも思う。

自分がやりたいと思っていることを簡単に諦めるのって、なんか自分を大切にしてないよね。自分の気持ちを軽視してるっていうか、なんというか。

 

そしてこの章には「心で動き、やりながら考える」という節があるのだけど、この言葉、ほんとその通りだなと。この一言覚えておくだけでも、いろんなことを間違わなくて済むような気がします。

何かをちゃんと形にしてる人って、行動の量も思考の量も半端ないです。

 

 

第三章 続けてみる

舞台が途上国だということもあってか、マザーハウスが直面してきたピンチとかトラブルって本当にすごくて(この本にも書かれています)、続けるの本当に大変だったと思うのです。

何かを続ける中ではトラブルも失敗もつきもの。やっぱり失敗って嬉しくないから、何か始めても、失敗したらすぐに「自分には合わない」とか「やっぱり無理だよね」って思ってやめちゃう人のほうが圧倒的に多い。

 

私の「失敗」に対する考えは結構一貫している。それは「継続をやめた時点で生まれるもの」だ。
(p.138)

 

たとえ失敗だと思っても、次につなげられれば成功に変わる。まあ、そう言われてもやっぱり良くないことが起きたら傷つくし、心が痛いし、苦しいしつらいし、怖くなって動けなくなったりもするんだけど。

傷ついた経験が心を強くしてくれて、ちょっとやそっとのトラブルでは動じなくなる、ということはよくある。結局、自ら飛び込んで経験していくことでしか、人間って強くなれないのだよなあ。わかっていても勇気がすごくいるんだけど。

 

そして、最後のほうに書いてある「夢は雲だ」という話がとても好きです。

夢をつかんだけど、興奮や達成感はない。夢は雲のように、つかんだら消えてしまった。そして、空を見たら前よりも大きな雲が広がっている。でもきっとそれもつかんだら消えてしまう、っていう。

 

これは自分の経験からも本当に共感するのですが、夢って、叶った瞬間にものすごく感動する!みたいなことが意外とないのですよね。むしろ、「ああ、なんか叶っちゃったなあ」みたいに他人事のような気持ちになったりして(笑)。

でも、どうしてもつかみたかったものが、当たり前の日常に組み込まれていくのって、ものすごい感動というよりも、じわじわと後から幸せがわいてくる気がする。だから私は今後も次々と雲を追ってしまうのだろうなあ、いつまでも。

 

 

自分の文脈に活かす、ということ

起業ストーリー的なものは、この「自分思考」ではなく別の本にたくさん書いてあるのだけど、この本に出てくるエピソードだけ集めても、山口さんの経験ってけっこう壮絶です(笑)。

だから、山口さん個人の経験を読むと(他の人の本でもそうなんだけど)、あまりにすごすぎて、どうしても「私には無理」「この人だからできたんでしょ」という感じがしてしまうかもしれない。

でも、必ずしも山口さんと同じレベルでなくとも、「自分ができる範囲のことをやりきる」という気持ちがあれば、何かしらの道はひらけるんじゃないかと個人的には思っています。当たり前だけど、何もしないよりは効果あるよね。

 

どんな本でもそうだけど、何を学び、自分の文脈にどう活かすかってほんと大事。人の経験談なんて役立たないって言う人もいるけど、学び方や受け取り方の問題かなと個人的には思います。

 

自分のやりたいことを探したい人、やりたいことが見つかって実現したい人、やりたいことに向かって既に走っている人もぜひ。というか、キャリアや生き方に悩んでる人みんな、かな。

 

山口さん&マザーハウスの歩みが書かれているこちらの2冊もオススメ。

 

まだ「裸でも生きる3」は読んでいないのです。次はコレ読みたい。

 

ちなみにこちらは、副社長の山崎さんの記事。本は出されていませんが、山崎さんのお話を数年前に伺う機会があって、すごく興味深くて。お二人揃っているからこそのマザーハウスなんですよね。

今の仕事を「自分らしさ」と結びつけ、天職に変えるには?

 

 

※おまけ。

2015年のクリスマス前、本店に買い物に行ったら、偶然にも山口さんが接客中でした!一緒に写真撮ってもらったの巻。(左が山口さん。どこにパワーが隠れてるの!?っていうぐらい華奢でかわいらしい方だった)

 

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