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読書の記録

【勉強できる子卑屈化社会】「勉強できる」の呪縛を解き放て

投稿日:2017年3月24日 更新日:

勉強できる子卑屈化社会

 

タイトルを見た瞬間に買ってしまいました。

小中学校の頃、誰がどう見ても「優等生」だった私は、ほんと見事なまでに卑屈化しておりました。だから、そんな状況を本にしてくれた人がいるのか!と。

「勉強できる」ってなかなか厄介だと私はずっと感じてきたもので、この本のレビューを書きつつ、便乗していろいろ吐き出したいと思います。

 

勉強できる=うしろめたい?

「勉強できたって将来役に立たないぞ」

「勉強できるのと頭がいいのは違う」

「社会勉強のほうが大事」

「世の中には勉強より大事なことがある」

 

…この本の表紙には、勉強できる子が言われがちな言葉がずらずらっと並んでいます。もう嫌ってほど言われて、嫌ってほどわかってるやつ。

基本的には、勉強ができると親とか先生に褒められたりするのだけど、でもなぜか同じ口で上記の「勉強できたって…」みたいなことを言われたり、

宿題写したいときや志望校聞きたいときだけ仲良くしようとするクラスメイトがいたり、クラスメイトの親にまで妬まれたりもする(すべて個人的実話)。

 

あと、個人的に衝撃的だったエピソードとして「勉強できるからバイトなんてできないと思ってた」と友人のお母さんに言われたことがありまして。

「勉強できるっていうだけでここまでの印象になっちゃうの!?」と、それはそれは本当に驚いたものです。

それを機に「成績や学歴だけで人を見てはいけない、ちゃんと1人1人の本質を見つめないと」って一段と強く感じるようになりましたし、その気持ちが今の仕事につながっているので結果オーライですけど。

 

そして、こういう話がわざわざ1冊の本として成立するってことは、私だけじゃなく、似たような経験をしてきた人が一定数いるってことでしょう。

実際、本書の中でも、Twitterで「勉強できる子あるある」を投稿したらすごい反響があった…という話が書かれています。

 

はて、「勉強できる」って、そんなにうしろめたいことなのだろうか?

そんな問題提起が、この本の冒頭部分でされています。

 

うしろめたさの背景にある歴史や環境の分析も。

明治以後の日本における勉強を取り巻く流れを大きくまとめると…

(中略)

…「学校の勉強」の相対的地位が見事に下がってきたのがわかります。さらに言うならば、勉強できる子が従来目指してきた政治家や官僚への不信が拡大していったことも一つ要素として加えてもよいでしょう。(pp.94-95)

 

ちょっと長いので略しちゃいましたけど、本の中には、

「ガリ勉は使えない」っていう空気とか、「学校の勉強って意味あるの?」っていう疑問とか、「努力するのはカッコ悪い」みたいな風潮とか、

勉強できることが良くない感じになっていった歴史的経緯が書かれています。

まあたしかに、勉強できる人たち(正確に言うと「勉強しかできない人たち」だと思うけど)の就いてる職業って、今かなり信用されてないよね。

 

メディアの影響も書かれています。メディアで「勉強できる子」がどう描かれているか。

勉強でいる子は心がねじ曲がった嫌なやつ、不良は純粋でまっすぐで本当はいいやつというステレオタイプ的な描写(p. 118)

 

最近は前ほど見かけない気もするけど(と著者も書いてるけど)、以前は定番だったよね、こういう感じの描写。

勉強できるキャラがものすごいカタブツで、勉強しか興味ない感じに描かれていたりして。

 

 

勉強できるのも個性の1つだよね?

 

この本の中ですごく同意できる箇所がこのあたりなんですが↓

「友情も大切」「夢も大切」そして「勉強も大切」ではなぜだめなのでしょう。勉強できる秀才を悪者にしなければそれは伝えられないものなのでしょうか。(p.121)

学校の勉強に対しては、大人も子供もいろいろと複雑な感情が入り乱れていて、スポーツのようにできる子はかっこいいで済まされないというのはわかります。

しかし、それでもなお主張したいのは、勉強ができることを他の能力と区別することなく、平等に褒めようということです。(p.201)

 

個人的にすごく思うのですよ。

 

どんな「できる」も否定しないでほしい。

「勉強できる」も、他の「できる」と同じように個性の1つ。

 

勉強でもスポーツでも芸術でも何でもいいんだけど、

「できる」ものは「できる」ものとしてちゃんと認めてあげてほしいし、認めてあげたいなと。

 

わかってるんだよみんな、人間として頭に知識詰め込んだだけじゃダメなのは。

でも、それは「勉強できる」を否定していい理由にはならなくて、勉強ができてすごいね、勉強以外のこと「も」がんばってみようか、っていうだけじゃないのかな。

 

私自身の過去を思い出しても、私の周りの勉強できる人たちの話を聴いても、ただ単に認めてほしいだけだったりするんです、勉強できる子たちって。

自分のことを理解してほしい。受け入れてほしい。ほんとそれだけ。

「勉強できる」っていうだけで、なんとなく煙たがられたり、友達の輪から一線引かれたりしちゃうことも多いから。

 

要は、勉強を良いほうにも悪いほうにも特別扱いしないってことですかね。

勉強が個性の1つとしてフラットに扱われたら、勉強できてもできなくても、それ以外の何ができてもできなくても、みんながそれぞれの「できる」を認められて、生きやすくなるような気がするのだけど。

 

 

でも実は、自分を誰よりも縛っているのは自分

勉強できる子のための処世術として、

  • 客観的に見て、自分は自分で思っているよりも百倍ぐらい嫌なやつだと思われているのだと自覚すること
  • 逆にまったく空気を読まず、気にしないどころかむしろビッグマウスのカリスマを目指すこと
  • 日本がいづらいなら、いっそのこと海外に興味を持って逃亡すること

…みたいなことが書かれています。個人的にはどれもそれなりに同意できます。

 

ただ個人的には、それより何より大声で叫んでおきたいことがありまして、

 

勉強できる自分を縛っているのは、誰よりも自分だということに気づけ!

 

ということなんです。

 

周りから「勉強ばっかりじゃ…」とかあれこれ言われ続けると、いつの間にか自分を卑下するような思想ががっつりインストールされてしまって、

誰も何も言わなくなった後でも、「自分はどうせ勉強しかできなくて人間としてダメなやつだ」って思い込んでしまっていたりするんですよね。

もちろん、周りから素直に認めてもらえていれば、そう思い込むこともないのかもしれないけど、自分の思い込みって自分なら外せる

 

世の中ってとてつもなく広くて、勉強できる人なんて山ほどいるし、上を見れば上なんて嫌ってほどいっぱいいます。

勉強ができて、かつ人間的に素晴らしくてチャーミングな人だって、それはそれはたくさんいます。

子どもの頃と違って、大人になったら、自分でそういう場所を求めて世界を広げていくことだって可能です。

 

周りに言われたことを気にして自分を閉じていたら、あまりにもったいない。

卑屈な自分を解放してあげさえすれば、普通に周りに受け入れてもらえたりするもんです。

 

せっかくできることがあるなら、どんどん活かさないと損だと思うのね。

私はもともと、コツコツ努力して手にしたいものを手に入れられるようになるのが好きなのだと思う。

だから、必要ならばどんどん勉強したいし、求められるならいくらでもこの頭を使いたいと改めて思う今日この頃です。

 

 

この本に書かれている話、私の経験とは重ならず「うーん…」という部分があったのも事実です(たぶん私が著者ほど突き抜けて頭良くなかっただけだと思うけど)。

でも、「わかる!」って言いそうな人が何人か頭に思い浮かぶな。ここまで読んで気になった人はぜひどうぞ。

ただ、正直言って、気に障る人もいるだろうなあと思うような内容です。念のため。

 

 

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