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人間観察日記

【人間観察日記・2】サラダぐらいじゃ、女は美しく生きられない

投稿日:2017年4月4日 更新日:

申し訳程度のレタスとトマトじゃ、大した栄養なんて摂れないのかもしれない。

でも、心を少しでも潤すための水分が摂れたのなら、また笑うことだってきっとできるから。

 

 

Vol. 2 サラダぐらいじゃ、女は美しく生きられない

 

ちょうどお昼時、とあるカフェでパスタを食べていた。

ふと顔を上げたら、少し離れた席に座ったある女性のところにも、パスタが運ばれてきたのが見えた。小さなボウルに入ったサラダと一緒に。

 

…サラダ?サラダなんてあったっけ?

 

このお店のランチセットはパスタとドリンクだけだから、サラダは別途オーダーしなければ付いてこないはずだ。

わざわざサラダを頼むとは、健康とか美容に気を遣ってる人なのかしら。少しでも野菜を摂ろう、と。

そもそも私なんて、サラダを売ってることすら気づかなかったぞ。メニューのどこに書いてあったんだろう?

まあ、書いてあったとしてもたぶん頼まなかったと思うけど。ランチのサラダって、あんまり胃袋の足しにはならないし。トマト一切れとレタスぐらいしか入ってないし。

 

…胃袋の容量にしか興味がなかったことに気づいた私は、さりげなく「女子力」の差みたいなものを見せつけられたような気がした。

その女性はたぶん30代で、色が黒くてちょっとグラマラスで、なんとなくヒップホップダンサーさんみたいな体型と雰囲気の人。

 

いいなあ。かっこいい。ああいう身体になってみたい。

 

私は凹凸が少ない棒のような身体をしているので、出るところがしっかり出たグラマラスな体型の女性には、ほぼ無条件で憧れてしまう。

痩せていると言えばその通りで、かえって羨まれることも多いのだけど、女性的なやわらかさがあってメリハリのついた身体には、この薄っぺらい身体は本当に敵わないなと思う。

もし生まれ変われたら、あの女性みたいなカラダを手に入れて、鏡にまじまじと映して確かめてみたい…などと本気で思ってしまうぐらいに憧れの身体をした女性を、私は今こっそりと観察しているわけです。

 

とはいえ、人間は見た目だけでは判断できない生き物。

 

彼女が店員さんからサラダを受け取ったときの表情に、私はすっかり幻滅してしまったのだ。

にこりともしない。お礼も言わない。無表情。というかむしろ、仏頂面。不機嫌そうな顔で、ぶすっとしたまま。

見た目がかっこいい女性だけに、ものすごいギャップを感じた。足元に突然大きな落とし穴があいて、暗い地中に一瞬で突き落とされたような衝撃。

 

わざわざサラダを頼むという自分への気遣いはできても、他人には気遣いがないのか?あんな表情で野菜だけ食べてても、きれいにはなれないだろうよ。大変申し訳ないのだけど、それはどっちかというと「ブス」の仲間入りになっちまうよ…。

 

内面は顔に出る。

 

若いうちはまだいい。内面が未熟でも、若さでカバーできる部分がある。でも、「40歳を過ぎたらカバーしきれない」というのが、20代前半から私の持論だ。

40代に入ると、内面が美しい人とそうでない人は、顔を見ただけで一目瞭然。すべてが顔つきに出てしまう。

というか、出てしまっている人を私は本当にたくさん見てきていて、「自分も気をつけよう…」と、当時からずっと思ってきた。

だいたい、それぐらいの年になってしまったら、もう誰も注意なんてしてくれないわけだし。

彼女がたとえ30代であっても、あのランチのサラダぐらいじゃ、あの仏頂面はカバーしきれない。なんてもったいないのだろう。

 

胸がぎりりと痛む。

彼女があのとき、たまたま機嫌が悪かっただけならいいな、と心の片隅で願う。

 

あるのだよなあ、仏頂面でないと人に接することのできない日って。

 

泣きたくても怒りたくても、我慢するしかない場面ってたくさんある。

たとえ自分が悪くなくても、世の中にはいろんな不条理が転がっていて、心の中の怒りややるせなさを、とびきりの笑顔で、顔の筋肉を総動員して、必死でカモフラージュするしかないことだってある。

店員さんには本当に気の毒だけど、頑張って作っていた笑顔を崩せる場所はそう多くない。

1人になれるランチタイムってまぎれもなく「息抜き」で、必死で笑顔を作らなくても生きられるとても貴重な時間なのだ。

笑うってエネルギーを使う。そのエネルギーさえ残せないぐらい、心も身体も疲弊しまう1日を、サラダで少しでも潤わせることができただろうか。

 

もちろん、本当のところは、ただ眺めているだけの私にはわからない。

日頃から感じの悪い女性なのかもしれないし、たまたま今日疲れていただけなのかもしれないし、何か違う事情があるのかもしれない。

 

でも、つい願いたくなってしまうのだ。

ああ、どうか彼女がもっと笑っていられますように。美しい人が、本当に美しくいられますように。

 

 

今日のカフェ情報:タリーズコーヒーのパスタ。

カフェでランチをするとき、サンドイッチじゃ物足りない…と思うことが多いのです。パスタがあるならパスタを頼みたい。

この日頼んだのは小エビのトマトクリームパスタでした。この記事の現場はタリーズじゃなかったのだけど、タリーズにはサラダセットがちゃんとあるので、あの女性を思い出してサラダ付きに(主に写真のために…)。

小エビのトマトクリームパスタ サラダ+ドリンクセット、1,110円。

 

-人間観察日記

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